有限会社佐々木酒造店

    地元の食に寄り添ったお酒を、復興の物語とともに発信

    東日本大震災の際、大津波による壊滅的な被害を受けた宮城県名取市・閖上(ゆりあげ)。海辺の町で 1871 年、明治 4 年の創業から酒造りに励んできた佐々木酒造店ですが、自慢の銘柄の名前は奇しくも「宝船 波の音(ほうせん なみのおと)」でした。震災から 10 年経った今、140 年以上続く銘柄を一人でも多くの人に知ってもらうべく、ビジネスのデジタル化に取り組んでいます。

    「遠くにいる人たちに情報を発信しなければ、伝えなければと感じました。」

    震災以前から、佐々木酒造店の販売先は近隣の沿岸部にある料亭や寿司屋、酒屋だけだったと 佐々木さんは語ります。「地元でしか飲まれていないお酒、それが宝船 浪の音でした。しかし、震災で酒蔵は全壊してしまい、私たちは市内の工業団地に仮設蔵を立ち上げてお酒造りに励み、やっとの思いで閖上に戻ってきました。波の音という名前にもあるように、このお酒は海のそばから離れてしまっては造れないんです。近隣のお得意様もいなくなってしまった中、これからは遠くにいる人たちにも自分たちのお酒を伝えなければいけない、そう考えていた時にイノベーション東北という Google のプロジェクトで Google マイビジネスを知りました。」(5 代目蔵元・佐々木さん)

    Google マイビジネスをはじめ、デジタル化を推進したことで、海外の方々が注目してくれたり、遠方の方々と積極的にオンライン商談したりするようにもなりました。佐々木酒造店のお酒を飲んでみたい、閖上を訪れてみたいというお客様も増えてきたといいます。また、高齢化が進む中、佐々木さんは地域ぐるみのデジタル化を目指し、勉強会を開催するなどして閖上の復興にも努めています。

    デジタルを活用し、地元東北の食に寄り添ったお酒を届ける

    佐々木酒造店には、お米や水といった地元の食に寄り添うお酒を造るというこだわりがあります。今後は地元の特産品であるシラスを使った料理に合うお酒や、特産品を紹介する YouTube 動画も制作予定だそう。「震災があった日から、この先どのように事業を展開していくのか、世界に対してどのようなお酒を発信していくのかを考えてきました。Google のトレーニングを受けてから、まだまだ挑戦できる、実現できることがあると実感しています。今後もデジタルの力をより一層活用して、閖上と佐々木酒造店の復興の物語が伝わるようなお酒を届けていきたいですね。」(佐々木さん)

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    専務取締役 佐々木 洋さん